山の中の七夕

ギャラリー・ヴィヴィエンヌでの6月19日のイベントの一環として、おもちゃ屋さん Si tu veux (jouer) のご協力による子どものためのアトリエが開催されました。


この企画の準備を進める中、日本の七夕という風習に興味を持ったSi tu veuxのオーナーの提案で、短冊に願い事を書いてデコレーションをし、イベント終了後にはアルプスを臨む山で短冊の願いを天に届けるためのお焚き上げをしよう、という企画に発展しました。

実は子どもたちやフランス人が書いてくれたこれらの短冊を日本で展示することも検討・調査したのですが、現時点では物を送り現地の方々の手を煩わせるのは賢明ではないという判断に達し、七夕に当初の予定通りお焚き上げを行いました。
以下はこの子どもアトリエのために素晴らしい絵を描いてくださったKyoko Dufauxさんの寄稿です。


 パリから列車と車を乗り継ぐこと約4時間、フランスとスイスの国境付近にある山間の村に辿りつきました。七夕にちなみ、先のギャラリー・ヴィヴィエンヌでのイベントで集めた短冊を燃やすためです。多くの人からの被災地の復興に寄せる思い、子供たちへのメッセージを託した色とりどりの短冊が手提げかばんの中に詰まっています。
 
 目的の山小屋は臼型に広がる牧草地の中腹にありました。小屋の窓からは対面の傾斜地と草を食む牛たち、遠方の山々、そしていかにもこの地方らしい深く青い空と長閑に浮かんでいる雲を見渡せます。聞こえてくるのは黄金色の草むらから響く虫の音、そして遠い牛の鐘の音だけ。自然の静寂に包まれ、都会の喧噪を離れたことを実感します。
 
 フランスの夏は日没が遅く、午後9時でもまだ空は明るいままです。漸く赤みが差すかどうかという頃、たき火の準備をはじめました。まだ30歳前の山小屋の女性オーナー、そしてこの地域に住む、50代から60代といった山の達人たち7人が協力してくれました。
モンブランの見える、山小屋のわきの緩やかな斜面に、林から拾い集めた灌木や薪を積み上げ、その横に色紙の短冊や鶴を飾ります。かがり火を放つと、たちまち勢い良く燃え上がりました。
少しづつ空も星が見えるほどの暗さになり、それぞれ交代で、短冊をたき火に投げ入れ続けます。短冊にこめた願いは火の粉となって高く舞い上がり、漆黒の空に赤い流星のように流れては消えていきます。
パリからの訪問者である私たちだけでなく、山の人達もこの儀式を見守っています。温かく、肯定的な気持ち、生きる喜びに満ちた彼らの声が火の粉と一緒に運ばれ、哀しみ、怒り、絶望、といった、ありとあらゆる負の感情のある場所に届いてくれるように祈りました。
 
 そもそも短冊をモンブランの見える山頂で燃やすことは、イベントの協力者でありSi tu veuxのオーナー、マドレーヌさんによる発案で、天に願いを届けるという意図でしたが、ただ山頂であるという以上に震災後の日本の復興を願う人すべての人にとって、極めて象徴的な場所であったと思います。なぜなら、山小屋には水道も電気もなかったからです。オーナーにとっては、エコロジカルなライフスタイルを貫くことがあたりまえな選択肢であり、彼女にはまるで気負ったところがありません。自然を愛してやまない、素朴で純粋な山の人たちに学ぶところは多いです。甘やかされた都市生活者にとって、自然の声に耳をかたむける真摯な態度を持つ事、便利さを求める生活態度を見直すことは何より必要なことだと感じました。


山の中の七夕 への3件のコメント

  1. ピンバック: 山の中の七夕 | JAPONAIDE

  2. こんにちは、突然のメール失礼いたします。

    私たちは、東日本大震災からの復興と、犠牲者の鎮魂を祈り全国一斉に線香花火に火を灯す『100万人の線香花火ナイト』を企画しております。

    こちらが企画資料です
    https://docs.google.com/file/d/0B7tQOVKCgcB4Tk0zQVEyOVBSY2M/edit
    7月7日と、8月11日に開催し、被災地と外部とでのメッセージの交換なども企画しております。

    もしよろしければコラボなどできませんか?

    海外の方からのメッセージ等、我々が責任を持って、被災された方に届けます。

    大変喜ばれると思います。

    是非ご検討くださいませ。

    希望の光プロジェクト

    岩手県盛岡市三本柳1-19-6-205

    090-1229-2477

    魚山 宏

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