震災から間もなく3年を迎えようとする2014年1月22〜24日、パリ中心に位置する天理日仏文化協会のエスパス ベルタン・ポワレにて、日仏女性劇団セラフが「3.11」をテーマとする舞台「波」を上演しました。
この作品は、シャネル日本法人社長であり、小説家としても知られるリシャール・コラス氏が、被災地で目の当たりにした悲劇の数々を一つの物語として綴った著書「波 蒼佑、17歳のあの日からの物語」の一部を舞台化したものです。
3日間の上演期間中には、日仏多くの人々が来場し、最終日にはコラス氏の姿もありました。
舞台は主人公・蒼佑(そうすけ)少年の曾祖母による三陸地震の話から始まり、次第に蒼佑自身に襲いかかった東日本大震災のシーンに移っていきます。小さなステージにはイス以外の舞台セットはほとんどありません。津波も地響きも、すべてが「人」によって演じられ、息をのむ迫真の演技と、舞台特有の時空を超えた創造の世界、そしてきっと舞台美術装置では演出できなかったであろう被災地の魂の吐息が同時に存在しているようでした。そこには、あの日フランスでニュースを知り、テレビ画面に釘付けになりながら、どす黒い水の塊に飲み込まれていく家々を呆然と見ていた自分たちの姿さえもが見えた気がします。会場のあちこちで、こらえきれない涙の音が静かに響いていました。
私たちは津波の猛威に圧倒されたあの日からずっと、そこに暮らしていた人々を「被災者」という言葉でひとくくりにし、そこで起きていたこと、そしてそこにあった一人一人の命の重さに鈍感になってしまっていたかもしれません。知っていたつもりで理解していなかったたくさんの現実、この舞台は私たちにそれらをダイレクトに伝えてくれます。歴史を人が人に語り継ぐ。この作品は、蒼佑少年の曾祖母に象徴されるような大切な語り部として、震災から年月が経っていくこれからだからこそ、今後、様々な土地で、より多くの人々に観てほしい作品だと感じました。
連日上演後には舞台からも募金の呼びかけがあり、会場スタッフの皆様のご協力も得て、3日間で計1,167.02ユーロが募金箱に寄せられました。この義援金はジャポネードを通して、コラス氏の希望により NPO法人国境なき子供たちに送金し、東北の子供たちの為に役立てていただきます。
最後に、この舞台の実現に尽力されたすべての関係者の皆様に心より敬意を表しますとともに、ご来場の皆様に厚く御礼申し上げます。
皆様、ご無事でしょうか?
こちら日本でも連日パリでのテロの様子が報道されており、心を痛めております。
パリにお住まいの皆様の事がとても心配です。
一日も早く収束することを心から願っております。
どうぞ、お気をつけてお過ごしください。
私のお友達、田中三恵さんにもお伝えください。
あたたかいお言葉ありがとうございます。返信が遅れましたことお詫び申し上げます。