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4月10日UNESCOオーケストラ・チャリティコンサートでのイリナ・ボコヴァUNESCO事務局長のスピーチ日本語訳

モーゲンス・シュミットUNESCOフィールドコーディネーションオフィスディレクターによる代読

皆様、
UNESCO事務局長、イリナ・ボコヴァに代わりまして、この場に参加できることを光栄に存じます。事務局長は本日都合により参加できませんが、皆様へのメッセージをお預かりしております。以下、代読いたします。

メッセージ本文:
ユネスコ日本政府代表部大使 木曽功様をはじめとし、ご臨席の皆様、親愛なる友人、スタッフの皆様、

世界は今、日本とともにあります。
国際連合教育科学文化機関(UNESCO)を代表して、3月11日に発生いたしました東北地方太平洋沖地震の被災者の皆様に心よりお見舞い申し上げます。

今年は日本のユネスコ加盟60周年となる年です。今、日本は大変な困難の中にありますが、この記念の年に、ユネスコと日本の歩みについて振り返りたいと思います。
1947年7月19日に、仙台で世界初のユネスコ協会が発足されました。第二次世界大戦の爪痕を目の当たりにした仙台の人々は、ユネスコの理念である教育、科学、文化、交流を通して平和を築くために立ち上がったのです。
この草の根運動は各地に広がり、1948年の日本ユネスコ協会連盟の発足のきっかけとなりました。これにより日本は、正式な和平条約である1951年9月のサンフランシスコ条約調印に先だって、同年5月、ユネスコの正式メンバーとなりました。これは、日本の国際連合加盟よりも5年前のことです。

今回のオーケストラ・チャリティコンサートは、我々の60年以上にわたる強い絆を表すものです。
我々は、復興はまず教育現場から進めるべきだと信じています。それは、学校、生徒、そして教員といった教育にかかわるものは、未来を作る土台となるからです。教育こそが、変化をもたらす最大の希望なのです。今回お寄せいただいた募金はすべて、日本ユネスコ協会連盟に託され、被災した7008もの学校の支援に充てられます。

世界はひとつです。
今回の災害は、日本だけが危機に曝されているのではありません。世界全体の問題なのです。我々は皆、この悲劇に衝撃を受けています。復興と新しいスタートのために、ともに協力しましょう。
今ここにいらっしゃる皆様、演奏してくださる演奏家の皆様、そしてお越しくださった皆様に深く感謝いたします。
今回のコンサートを企画してくださった阿部加奈子さんそして松宮圭太さん、演奏に参加してくださる萩原麻未さんをはじめとする演奏家の方々に、重ねてお礼申し上げます。
何よりも、このコンサートは希望というメッセージを届けてくれるでしょう。

この春の日曜の午後は、18世紀に生きた有名な俳人、与謝蕪村の詩の一節を想起させます。

燭の火を燭にうつすや春の夕

この句には、春という季節のエッセンスが凝縮されています。暗闇の一隅にもたらされる明かり、そこから再び生を得るいのち、明かりが運ぶ希望…。

今日、ここにこうして集まったのは、まさにこのためです。春の光を共有し、共に、前に進むためなのです。ここでは音楽が、団結のための仲介となります。音楽は誰もがわかる言葉で我々の心に語りかけ、元気を与え、なにものをも超越します。音楽は、人間に与えられた、強さや共感、希望を表す最も強力な能力のうちのひとつなのです。
どうぞよいコンサートをお楽しみください。

イリナ・ボコヴァ

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