Un an après(一年後)

「Un an après(一年後)」。
この一年がどれだけの人の人生と心を動かしたことでしょう。

2012年3月11日。東日本大震災から一年が経ったこの日、パリのUNESCO本部では世界的に活躍する指揮者・佐渡裕氏を迎えてのコンサートが開かれました。

フランス国内外から集まった演奏家の皆さん、そして1400人で埋まったUNESCO国際会議場は「復活の音を奏でる日」に相応しく、鎮魂と祈りと未来への賛美にあふれていました。

バッハ「G線上のアリア」の後は佐渡さんの意向で拍手の代わりに全員で一分間の黙祷を。
芥川也寸志の「トリプティーク」では前進する力強さを。
「指揮をしている手の動きが十字架を本当に切っているように、祈りの気持ちで」。リハーサルの時に佐渡さんがこう伝えていたことがそのまま音として浮かび上がるチャイコフスキーの「弦楽セレナーデ」。
ヴァン・クライバーン国際ピアノコンクールで優勝した、ピアニストの辻井伸行氏をソリストに迎えてのショパンのピアノコンチェルト第1番が優しく会場を包み、そしてアンコールにはリストの「リゴレット・パラフレーズ」を演奏してくださいました。

第二部には、昨年のUNESCOコンサートにて指揮者を務めた阿部加奈子さんに佐渡さん自らがタクトを託され、ベートーヴェンの「エグモント」序曲を演奏。
続いて今回がパリでのデビューとなる若干16歳のヴァイオリニスト周防亮介氏をソリストに迎えてのチャイコフスキー「ヴァイオリン協奏曲」は、第三楽章のロシアのトレパック風主題もノーカットで華麗に披露されました。

スーパー・キッズ・オーケストラとオーケストラJAPONAIDEによるラヴェルの「ボレロ」、そして佐渡・阿部両氏の指揮による「ふるさと」は会場が一体となり日本を思う時間が流れました。

今回のコンサートは演奏だけではなく、被災地の様子や昨年度のコンサートで集まった義援金がどのように使われたを報告する時間が設けられました。
第一部では桜の枝を携えた釜石市の旅館「宝来館」の女将・岩崎昭子さんが壇上に上がられ、津波発生時に旅館の方々と逃げた時のお話「てんでんこ」、震災発生時間にパリのトロカデロ広場で献花をされたお話、そして被災地で「しなやかに立ち上がる」人々のお話をされ、拍手と涙に包まれました。
第二部では野口昇日本ユネスコ協会連盟理事長によるUNESCOの日本における支援の様子、また現地で家族を亡くしながらも将来の夢を失うこと無く生活をしている子供達のインタビューが流されました。

震災後「音楽家は無力だ」とおっしゃっていたという佐渡裕氏。
マエストロの思いは完全ボランティアで素晴らしい音楽を届けてくださった演奏家の皆さん、そして会場にいた1400人の観客とUSTREAMでコンサートの様子を閲覧されていた約1万6000人の方々の心に、力強く、未来への礎となる一歩を踏み出させるタクトを振ってくださいました。

出演は、兵庫県立芸術文化センターの芸術監督でもある佐渡裕氏自らが率いる「スーパー・キッズ・オーケストラ」。フランス国内でオーケストラやソリストとして活躍する精鋭たちによりこの日だけのために結成された「オーケストラ・ジャポネード」。
昨年4月10日に開催されたUNESCOコンサートでオーケストラ・ジャポネードを指揮された阿部加奈子氏。ピアニスト辻井伸行、ヴァイオリニスト周防亮介の各氏。
また今回のコンサートのために一年ぶりに再結成された、フランス国内外で活躍する声楽家やラジオ・フランス合唱団の有志を中心として結成された「Chœur JAPONAIDE」。
そして指揮の佐渡裕氏。

このコンサートは出演者全員が無報酬であることはもちろん、多くのボランティアによって運営されました。改めて敬意と感謝を送ります。
私共ジャポネードでは企画・運営、広報、翻訳、特設サイトのデザイン・制作、ポスター及びフライヤーのデザイン・制作、パンフレットの編集・制作、会場でのご案内、USTREAMによる中継等を全て無償で担当させていただきました。

東日本大震災から一年が経ちました。
パリからひとりひとりの思いを日本へ届けるお手伝いが少しでもできるよう、これからもJAPONAIDEの活動は続いていきます。私たちの活動にご賛同いただいている方々に改めて心より御礼申し上げます。


Yutaka Sado Concert 11.3.11 Un an après
チケットの売り上げ:29,078€ + ¥136,500
当日の募金額:7,882€
当日入場者:約1,400人
Ustream視聴数:約16,000人
すべてのお金は東日本大震災子ども支援 ユネスコ協会連盟就学支援奨学金と石巻明友館に送られます。

出演:
佐渡裕
阿部加奈子
辻井伸行
周防亮介
スーパーキッズ・オーケストラ
ジャポネード・オーケストラ
ジャポネード合唱団

岩崎昭子(宝来館 女将)
野口昇(日本ユネスコ協会連盟理事長)
平澤絵美(通訳, ジャポネード初代セクレテール)

ご来場くださった皆様、出演者の皆様、公式・非公式を問わずサポートしてくださった皆様、本当にどうもありがとうございました。
被災地の今後のさらなる復興を祈っています。

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1 Response to Un an après(一年後)

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